ペット路線を歩む(歩まされる)将来の西口監督
最近露出が出てきたと、思ったら
台湾絡みのトークショーに西武主催の車椅子ソフトボール大会始球式
潮崎ヘッドコーチが広報時代に「潮崎哲也ノンストップトレイン」(車内で潮崎氏と文化放送のアナウンサーがトークショーをしながら池袋~西武球場前間を電車が運行する企画・・・2005年頃?)とかやっていたのを思い出しました。
これは選手を引退してからライオンズの指導者になるまでの貴重な時間を使ってやるべき事なんでしょうか?
功労者である西口氏が将来ライオンズの監督をやるのは間違いのないところかと思います。
西口氏は自身の著書の中でも「僕は感覚派」と書いている通り、スライダーは投げる直前まで速さを自在に変えることが出来て、投げる直前の打者とのタイミングを測ってそのスピードを決めていた天才的感覚の持ち主。
岸投手はその話を聞いて「スピードを変えるのはともかく、打者とのタイミングをどうやって測ればいいのかサッパリ分からない」と言ったそうで、岸投手程の能力の持ち主でもその感覚は計り知れなかったようです。
ただし、プレーヤーとしての能力とマネージャーとしての能力はまったくの別物。
一般企業に勤めるサラリーマンでもプレーヤーとしては抜きん出た才能を持って素晴らしい成果を出していたのに、昇格してマネージメントをやらせたらサッパリな人は少なくありませし、メジャーリーグではその辺りが重要視されて、メジャー未経験の人が監督になるのも珍しくありません。
自分が勉強が出来ることと、他人に分かりやすく勉強を教える能力はまったく別のもの。
西口氏は現役時代には投球フォームなどは個人個人の感覚による部分が大きいため、後輩に「ああした方が良い」「こうした方が良い」とは殆どアドバイスしてこなかったと著者の中でも書いています。
そしてこれからはそれではダメだとも。
岸投手程の能力者でも理解しきれない感覚をベースにして現役時代を過ごしてきた人がその感覚を持たない人、それも大半は自分の現役時代より能力の劣る人に教える、そしてゆくゆくはその個々人に教える段階を超えて組織をマネジメントする立場に立つ。
その難易度は、もしかしたらノーヒットノーラン未遂を3回やるよりも遥かに上かもしれません。
現役時代には投げる姿を見せるだけで周囲から西口を何とか勝たせたいと思われてきましたが、それで務まるのはエースまでの話。
コーチとしては十人十色の選手個々人に合った言葉で目線で態度で教え方で伝える必要があり、そして十人十色の選手コーチスタッフが集まった組織を統制し、組織に「この人を胴上げしたい」と思われる存在になるにはさらにもっと上のコミュニケーション能力と才覚が必要とされます。
今は出来ればメジャーなど、言葉が通じないような環境で個人や組織と共通の目標に向けて意思疎通を図ったり、沢山の選手や練習方法を見てその資質を見抜く術や効果を学んだりして、人身掌握をはじめとするそれまで自分が持っていないありとあらゆるコミュニケーション能力とマネジメント能力を身につけ磨くことが出来る貴重な時期と思いますが、僕の知る限りではほんの数週間台湾や韓国に行ったりした以外はそういった場に身を置いた話は伝え聞きません。
そもそも台湾だって「親西武派」であって、「何処の誰とも分からない奴がやってきた、的な存在から努力して組織に溶け込んで、多くの人が自分の言葉に耳を傾けてくれるようになった」なんて経験を得られる場所ではないでしょうし・・・
西口氏は年俸交渉の席で基本的にはゴネたことがなく、故に現役時代の最後3年は未勝利でも契約を続けられた部分もあるのでしょう。
西武球団は球団の言うことを素直に受け入れてタテつかない、ペットのような人物をこよなく好みます。
球団が用意したコーチスタッフを素直に受け入れ、営業の為に特定の大学や地域出身選手を使えと言われら素直に使い、補強が必要でも球団の顔色を見てそんな要望は上げない・・・
会社組織の縮図ですね。
おそらくは今のサラリーマンたる西口氏に、今後自分が何処で何をやるかの選択権は持っていないことでしょう。
なので球団側が「可愛い子には旅をさせ」なければならないし、球団自体がその在り方を変えなければならないのですが、そういう事が出来る球団になるのはライオンズが今シーズンのクライマックスシリーズに出場するよりも難しいのかもしれません。
何れにせよ、今の西口氏が歩いている道は潮崎ヘッドコーチが歩んできたのと同じ「ペット路線」であるような気がしてならず、個人的には選手時代の1年目と同様にアメリカで学ぶところからが名監督への第1歩だと思うのですが・・・