ライオンズクロニック

外野で垂れる能書き

押し出されてエースになる菊池投手

12月に入ってから更新頻度が牛歩の歩みになっている黒眼鏡ですどうもこんばんは。


書きたいことも色々あるんですが、なかなかこちらにまで手が回っていない現状です。
至って個人的なブログに何も申し訳なく思う必要はないんでしょうけれど、毎日訪れてくださっている方もいらっしゃるようで、非常に嬉しく思う反面、何となく心苦しいので訪問ペースも牛歩の歩みでお願いできたら幸いです(大汗




ということで本題の前にいくつか。




○フランク・ガルセス投手獲得 
Youtubeで動画をいくつか見ましたが、140キロ半ばくらいまでのストレートにカーブとチェンジアップの組み合わせるタイプのようです。


過去の成績を見る限りではコントロールはかなりアバウトで与四球率も高く、制球難の言葉が真っ先に浮かびますし、左打者にチェンジアップを投げている動画がないので多分投げられないかも。


いまいち起用法が見えませんが、日本の環境で力のあるストレートをインハイアウトハイに見せつつカーブと(右打者には)チェンジアップを低めに集められれば中継ぎで、、、というところでしょうか。


武隈投手の出番を後ろ倒しにできるような存在になってくれたらいいですね。





○2軍施設問題
ネットニュースで結構目にしますが、ない袖は振れないのです。


メヒア選手と契約しないでその分を施設に回したらそれはそれで文句が出るのでしょうし、そのメヒア選手とソフトバンクが契約しようものなら更に非難轟々でしょう。


山川選手をファースト起用するならメヒア選手とサヨナラして、1億くらいでサードやライトを守れる選手を2人連れてきた方が少なくとも節約にはなったかもしれませんが。。。


尚、オフの間に西武ホールディングスの財務分析でもやろうと思っていましたが、時間が取れるかどうか(汗





○髙橋光成投手
野上投手と自主キャンプをするようです。
別に野上投手に何ら文句はありませんが、ダルビッシュ投手と同じジムに通うならそういうところと積極的に交流をもって貰いたい・・・と、ファンは思ってしまいます。


超一流の人は何を考え、何を目的にして、どう日々を過ごしトレーニングをしてメンタルを整えているのか。
ライオンズのエースになるなら、ビッグネームに怖気づいてないで超一流に追い付き追い越すために超一流を知ろうとして貰いたい・・・と、ファンは思ってしまいます。




ということで、以下本題です。


FA移籍が多いライオンズでは必然的に押し出されてのエースとか正捕手とかレギュラーが多くなってしまいます。
来シーズンその形で押し出されてエースになるのが、今シーズンプロ入り初の二桁勝利を挙げた菊池投手です。



先日、「西武・菊池雄星 18年オフに条件付きでメジャー移籍情報」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/195692/2


というネットニュースが出ていて、その中で菊池投手が今シーズン二桁勝利を挙げた要因としてライオンズOB三井氏の




投球フォームが安定したことが一番大きく、直球、スライダー、チェンジアップの組み立てが形になってきて・・・




なんて言葉が載っていました。


フォームの安定はわかりますが、そのあとの言葉は僕から言わせればこれは昨年までの菊池投手の姿をベースにして適当に言っているだけです。


どう見ても今シーズンの菊池投手の象徴はカーブであり、それをバランスよく投げられた時期と投げなかった時期に分かれたシーズンであり、二桁勝利は対戦相手に恵まれたものだった・・・と、個人的には思います。


今シーズンの菊池投手の全投球に占めるチェンジアップは5.44%


今シーズンの菊池投手は2406球投げましたので、


2406×5.44%=130.88


ということでだいたい131球がチェンジアップであったことになります。
これを今シーズンの菊池投手の投球イニング数である143で割ると


131÷143=0.916


つまり、割合としてチェンジアップは1イニングに1球投げていない計算になります。



少し別の角度から見てみましょう。
菊池投手はそもそも左打者に対してチェンジアップは投げられません。


左投手は左打者に対して特定の投げ難い球種が存在するが話はきいたことがありますが、菊池投手にとってはチェンジアップがそれなのでしょう。
(フランク・ガルセス投手も同様かも)


僕が記憶している限り・・・(僕の記憶ほど怪しいものもないですが・・・汗)・・・菊池投手が今シーズン左打者にチェンジアップを投げたのは僅かに1球だけだった筈です。


左打者とは236打席対戦して、チェンジアップは1球。


そんな球種はそもそも組立の中に入っていない、入れられないと言うべきものだと個人的には思いますが・・・まぁプロの見方はド素人とは違うのかもしれません。





今シーズンの菊池投手を振り返ると4月終了時点では1勝4敗。


今でもはっきり覚えているターニングポイントは4月27日のロッテ戦です。


この試合で菊池投手はピンチで頼れるのがストレートとスライダーのみというピッチングの限界を露呈し、スライダーをカットされ見切られてカウントが苦しくなっては、ストレートを狙い打たれて完敗。


このままのピッチングを続けていては打線の大量援護がない限りなかなか勝ちが増えていかない、炭谷選手とともにそう悟り、2人で綿密な打ち合わせの上で対策を練ったのでしょう。


ここから菊池投手は変わりました。


次の登板となった5月4日のオリックス戦からストレート過多のピッチングを改めて110キロ台のカーブを全体の2割前後混ぜて多投するようになり、緩急をはっきりつけたピッチングへとモデルチェンジ


以後故障する6月半ばまでに緩急を武器に7試合に登板して5勝1敗。
復帰した8月は登板した4試合を全勝。


緩急が完全に菊池投手を変えました。





しかし・・・




8月の最終登板からまたピッチングが変わります。
(実際には8月の3試合目の登板からその気が出ていましたが・・・)
8月4試合目の登板は日本ハム戦でしたが、2回までに6点をリードする大量リード。


日本ハム打線のやる気も感じられない中で、ストレート過多でストレートとスライダーばかりの、つまり勝てるようになる前の緩急のないピッチングに逆戻り。


剛速球投手にとっては力でねじ伏せるピッチングは、打者にとってのホームランに等しい快楽がそこにあるのでしょう。


あるいはストレス発散のつもりだったのかは知りませんし、まぁこの日は大量リードだし、たまには息抜きにいいかと受ける炭谷選手もこれを許容したのかも知れません。


個人的にはこの日は仕方ない、9月に入ればまた緩急をつけたピッチングに戻ってくれる、そう期待していました。


しかしその期待は一つの誤算とともに裏切られました。


誤算とは9月から捕手が森選手に変わったこと。


森選手では菊池投手を制御するなど到底できず、9月に入ってからも緩急のないピッチングを継続。
菊池投手が自分で投げたい球を好き勝手投げては毎試合投球の9割以上がストレートとスライダー。


でも9月に入ってからも連勝は継続。


何故?


それは相手に恵まれたから。
もともとお得意様で、すでに3位確保で順位確定なのに加えて怪我人続出でスタメンの半分が何を投げても打たれない2軍のメンバーのロッテ、そしてもう来シーズンに切り替えている消化試合のオリックスに楽天。


こうして到達した二桁勝利という実績を引っ提げ、これまで逃げ回ってきたソフトバンクと対戦したのが9月23日。


この試合でも菊池投手はストレートとスライダーばかりの「勝てるようになる前」のピッチングを繰り広げ、4回までに5失点で完敗大敗。


意図的に避けてきたソフトバンク戦に登板したのは菊池投手が勝てる投手になったからの筈。
でも勝てるようになったのはカーブをマスターして緩急を活かしたピッチングが出来るようになったからであって、ストレートとスライダーだけに頼るピッチングは勝てるようになる前の・・・つまりソフトバンクから逃げなきゃいけなかった菊池投手の姿。


この結果は必然でした。




さて、来シーズンはどうするんでしょう。


どんな形であるにしろエースならばソフトバンクだろうが日本ハムだろうが関係なく戦わなくてはいけませんし、その上で1年間ローテーションを守らなければなりません。


今シーズン同様にソフトバンク戦は野上投手にお願いして逃げ回っていては、表面上では何を言ったとしても実際に誰も菊池投手をエースとして認めてはくれないでしょう。


1試合単位でソフトバンクに勝つことはもちろん、1年間ローテーションを守ることも、鍵は緩急です。



日本ハムの大谷投手を見ていてもよく分かりますが、160キロのストレートも投げ続けていれば打者も目が慣れますし、そこへ少しでも球威が落ちればプロの打者は簡単に打ち返してきます。
 
だから中盤で球威が多少落ちたとしても、その前と変わらずストレートを早く感じさせる為の配球が必要なのです。
 



またストレート過多のピッチングは1試合あたりの負担が非常に大きくなります。
指の豆を潰して5回で降板した試合などは、ストレートが全体の7割以上、ストレートとスライダーが全体の約96%という極端に偏ったものでした。


菊池投手のような力投型の投手がストレート過多のピッチングを継続すれば、疲労蓄積で怪我に繋がるリスクも高まります。


球数を減らすことも含めて、1試合あたり負担をなるべく減らす事が怪我の防止とシーズン通した活躍に繋がるわけで、1シーズンを通して投げきるためにピッチングをマネジメントしていく上では緩急が絶対的に必要になります。


来シーズン捕手が誰であろうが、そういう目線を持った上で目先の快楽に捉われずに菊池投手は緩急を武器にしたピッチングを継続できるでしょうか?




個人的には菊池投手は将来メジャーへ行くのだと今から覚悟しています。
でもそれまでの間にエースとしてチームを優勝に導いてほしいと思いますし、来シーズンはエースとして、



大量リードで余裕がある=余計に力でねじ伏せたくなってストレートばかり投げる
                      ↓
大量リードで余裕がある=実戦ではなかなか投げられないフォークやチェンジアップを試す                
          


そんな発想が持って、ソフトバンク戦でもカーブを自在に操るために、1シーズン投げ切るために、ソフトバンク戦以外でもカーブを常に磨いておく菊池投手が見られることを期待しています。