残りましょう炭谷選手、勝負をかけるか第2の上本選手になるかの岡田選手
選手にとっての最優先事項ってなんでしょう。
例えば今シーズン、ハンカチ王子こと日本ハムの斎藤投手は何か嬉しかったんでしょうか?
少し極端すぎるので、2014年にソフトバンクにFA移籍した鶴岡捕手を例に取りましょう。
この年、鶴岡選手は捕手として先発出場は49試合、途中出場で49試合。
クライマックスシリーズでは途中出場で3試合出場したのみ。
日本シリーズに至っては細川選手がフルイニングマスクを被り、僅かな出場機会すらありませんでした。
チームは日本一に輝きましたが、鶴岡選手の喜びはいかほどだったか?
自分が殆ど出場することなくチームが日本一になるのと、フル出場を果たしてチームが下位に低迷することのどちらを選ぶかと問われたら、本音のところでは選手全員が、とは言いませんが、多くの選手は後者を選ぶのではないでしょうか。
少し前に今シーズンオフに戦力外になった星選手が「FAは移籍する選手は裏切り者なのか?」
と、FA移籍について選手側の目線でブログを書いたことが話題になっていましたが、そこでは「空いたポジション」をチーム内で争い埋めていくことが新たな競争につながることなどを理由に、
ほとんどの選手はFAで移籍する選手に対して裏切り者と思ってないと結論付けられていました。
以下かなり意地悪なことを書きますが、森選手の捕手起用一本化に伴い来シーズンは3番手捕手となる岡田選手は、おそらく炭谷選手か森選手に怪我でもない限り、出場機会が非常に少なくなるでしょう。
実際、今シーズンの森選手の捕手起用が本格化した8月中旬以降は岡田選手の1軍先発出場はゼロ。
8月中旬からシーズン終了までの期間は途中出場で僅か6試合に出場したのみ。
立った打席は僅か2打席。
これで捕手として成長など出来るはずもなく、来シーズンもこれに似た状況が続くことでしょう。
そんな中、もし来シーズンオフに炭谷選手がFA移籍したらどうでしょう?
ライオンズにとっては大きなチーム力低下ですが、岡田選手にとってはこれ以上ない絶好のチャンス到来の状況で、炭谷選手のことを裏切り者なんて思うはずもないでしょう。
これこそが選手目線ではないかと個人的には思います。
さて、ではその上で、来シーズンは森選手の捕手一本起用で出場機会が減ることが確実なのが炭谷選手と、そして意地悪な書き方をしてしまった岡田選手です。
まずは炭谷選手。
今シーズンの6月までは毎月20試合以上、7月8月も19試合出場しましたが、9月はチームとして22試合を行う中で炭谷選手は先発出場が8試合、途中出場が2試合の10試合で、それまでのほぼ半減。
来シーズンも今シーズンの9月のような状況が続く・・・とまでは思いませんが、でも少なくとも今シーズンの8月までのような毎月20試合前後以上出場してその大半が先発出場なんてことにはならないでしょう。
来シーズンオフは今結んでいる2年契約が満了してFA権を行使できる立場になります。
もしかしたら他球団から誘いがあるかも知れません。
出場機会を考えた場合には他球団に移籍した方が増える可能性が高まります。
・・・が、
炭谷選手はライオンズに残るべきだと思います。
勿論ライオンズに残って欲しいという思いも個人的にとても強いですが、同時にしない方が炭谷選手自身にとってもより良いだろうとも思います。
FA移籍した捕手で最も成功した例は誰でしょう?
パリーグにおいて個人的に真っ先に上がるのが炭谷選手に競争なしで正捕手の座をプレゼントしてくれた細川選手です。
しかし細川選手がFA移籍した時はあらゆる条件が揃っていました。
細川選手を公私ともによく知る秋山監督が率いるソフトバンクから誘いがあり、そのソフトバンクには細川選手の配球に応えられる質の高い投手陣が揃っていて、同一リーグの為に既存の知識や情報をそのまま活用できる環境にもあり、そもそも打てる捕手としてではなく2010年までに何度も阻まれてきたクライマックスシリーズ以降の短期決戦を勝ち抜く捕手として見込まれた・・・
結果、移籍1年目からチームを日本一に導き、それまで負け越し続けていたライオンズもお得意様に変身。
この1年目に結果を出したのが細川選手にはとにかく大きかったです。
移籍1年目のOPSは.486とハッキリ屑ですが、それでも高い評価を得たのはそれまでチームが何度も阻まれてきた短期決戦に勝ち抜いて日本一になったから。
もし移籍1年目にチームが日本一になっていなかったら以後の細川選手の立場は非常に厳しいものになっていた筈で、37歳になる来シーズンに他チームから声がかかるような存在にはなっていなかったかもしれません。
そして細川選手流出時に多くのライオンズファンが思った「少なくとも打つ方は細川選手より期待できる」は完全な誤りであったことが今では完全に明らかになってしまった炭谷選手も、FAで出て行った場合に置かれる立場としては似たようなものではないかと思います。
移籍から遅くとも2年でそれなりに分かりやすい結果が出せなければ、そのチームが再び他の捕手を求める可能性が高くなります。
打撃面では期待できず、売りは捕手としての守備力や配球面になる炭谷選手が分かりやすい結果を出すとしたら細川選手同様にチームが日本一になるか、それに似た明確な何かを残すこと。
細川選手のように自身が高く評価される為に必要な条件が整った球団から声がかかれば良いですが、そうでない場合にはかなり厳しい話になります。
炭谷選手にそんな美味しい話がくるかどうか?
各チームの状況的に可能性はかなり薄そうですが・・・
また、もし来シーズン限りでライオンズを出ていくことになるとしたら、ライオンズのラストイヤーでも100試合以上先発出場していた細川選手とは違い、森選手に負けた、或いは森選手との争いから逃げた印象がどうしても強く、周囲に与える心象が非常に悪い。
それらを鑑みるとライオンズを出て行っても取り巻く状況や評価は厳しいものである可能性が高く、であるならば捕手としてはど素人の普通運転免許試験に3回落ちて牛丼ばかり食べている森選手を相手にしている方がよりベターでは?
勿論、打撃力では森選手に到底敵いません。
しかし、現時点での投手からの信頼の厚さは比べようもなく、炭谷選手自身に毎年所々で散見する主として配球・リード面での集中力のなさ、不足する丹念さ、これが試合に出続けることによる疲労から来るものであるならば、来シーズンは出場機会が減ることで、集中力と緊張感を常に持って試合に臨むことが出来て捕手としてのパフォーマンスは高いレベルを維持できる・・・かもしれません。
近いうちにまたブログに書きますが炭谷選手と森選手の配球傾向の違いはハッキリしていて、長いシーズンを戦い抜く上では炭谷選手の配球は不可欠ですし、森選手の出場試合が増えれば増えるほどその面が表面化してくるでしょう。
そういう「捕手力」の違いを見せつけ、ライオンズには捕手・炭谷選手が必要なのだと強く印象付けて残留してくれることを望みます。
残りましょう、炭谷選手!
・・・続いては岡田選手ですが、長くなってきたので続きはまた次回。