ザル守備報道の真実
というわけで打撃編・・・より先に少し書きたいことが出てきてしまいましたので、打撃編はまた別の日に書きます。
辻監督に決まってからやたらと守備が〜〜失策が〜〜という報道があるように思いますが、個人的には騒ぎ過ぎと言うか、論点がズレているようにしか思えません。
確かにライオンズの今シーズンの失策数101はパリーグワースト・・・というか12球団ワーストです。
でも、今シーズン常にエラーしまくっていたかというと、そんな訳ではありません。
オールスター前 75失策(86試合)
オールスター後 26失策(57試合)
オールスター前は1.147試合に1つ
オールスター後は2.192試合に1つ
もう少し細かくしてライオンズ月別失策数
(カッコ内は試合後)
4月 28(28)
5月 14(23)
6月 22(23)
7月 17(23)
8月 11(24)
9月 9(22)
計 101
1試合1失策ペースの4月6月は実際にかなりひどいもので、前半戦終了時点ではこのペースで行ったらシーズントータルでは120失策か130失策か・・・と思ったものですが、後半戦に入ると8月は2.18試合に1つ、9月は2.44試合に1つの割合と激減して結果ギリギリ100に届いた・・・という表現が正しいのかはともかく(笑)・・・程度で終わりました。
この失策割合がどれ程のものかと言うと・・・
今シーズン優勝した日本ハムの失策数はリーグ2位の少なさで、
4月 11(28)
5月 13(23)
6月 8(22)
7月 8(21)
8月 22(26)
9月 12(23)
計 74
月によりバラツキがありますが、6、7月は連勝で一気に駆け上がった月でもあり、2.625〜2.75試合に1つという驚異的な少なさですが、8月は反動が出て1.18試合に1つと言ってしまえば日本ハムでさえエラーしまくった月でした。
結局年間トータルを割合にすると1.93試合に1つ。
これを見るとライオンズの後半戦の失策割合、2.192試合に1つは優勝チームの年間平均よりも極めて優れた数字になっています。
つまり突出した失策数の問題は既に解決済であり、来シーズンは後半戦にやっていたことを継続すれば良いだけ。
もしこの割合をシーズン継続できたら
143試合÷2.192=65.24
シーズン65〜66失策ならリーグトップの堅守と言われるレベル・・・
・・・って、勿論チームや選手個々の状態は常に変化しますから、2試合以上に1つの失策割合がシーズン通して継続するなんて期待をしてはいけないでしょう。
でも好調時に2.1〜2.2試合以上に1つ、悪い時に1.3〜1.4試合に1つくらいの調子でバランスすれば平均して1.77試合に1つくらいは十分に達成可能だと思いますし、(月に23試合と仮定すると13失策でこの割合=日本ハムの5月がこれ)の割合で乗り切れれば、
143試合÷1.77=80.79
80〜81失策だと今シーズンで言えばリーグ3位の少なさで、もはや失策数こそが大問題ではなくなっています。
では・・・
前半戦と後半戦で何が変わったのでしょう?
細かいところを挙げると多々ありますが、一番大きな事は選手を、特に守備負担の重い内野手を本職で使っていたかどうか、ということ。
象徴的なのがサードとショート。
今シーズンのライオンズのサードはトータル22失策でしたが、うち20失策を前半戦に記録しています。
今シーズンはそもそも、言わば高齢選手の中村選手と渡辺直人選手の2選手しかサード起用を想定していませんでした。
これにより、この2人が離脱した事で金子選手や鬼崎選手といったもともとサード起用を想定していない選手に無理やり守らせてはエラーを連発。
そりゃキャンプで練習もしてないポジションで起用されればエラーもしますよ。
そしてサードの次にエラーが多かったイメージのあるショートも、シーズン19失策のうち17失策が前半戦。
もともとショートが本職の選手に無理やりサードを任せたりした所為で、本職ショートでの経験値が上がらなかったことが本職での失策を誘発した部分もあるのでしょう。
2つのポジションを守るために2つのポジションで練習すれば、本職1本の場合と比較したら、1つのポジションでの練習時間は半分にもなるわけです。
結局、後半戦はサードを主として中村選手と渡辺直人選手、ショートを主として呉選手、永江選手と、本職の選手が務め、かつこれらの選手が他のポジションを殆ど守らなかったことで失策が激減したわけです。
来シーズン、今シーズンの後半戦でしてきた「本職起用を継続する」ということは、当然サードは補強の対象です。
中村選手と渡辺直人選手だけに頼れば今年と同じことが起きます。
本当は山川選手が守れたら最高なんですが、緊急の突貫工事で来シーズンから即サードは厳しいでしょう。
また、後半戦のショートに関しては打撃を捨てて「守備の人」永江選手を起用したことによる打撃とのバーター部分も加味する必要があるとは思いますが、リードして守備固めの永江選手起用は特に9月以降当たっていますので、来シーズンもこれを継続したいところです。
そして先発起用は呉選手だけでなく、ショートを本職とする3人くらいで状態の良い選手で回せば、平均的に2割3分くらい打ちながら失策数も減らせると思います。
以上のことから、辻監督が守備に関して特別に取り組まなければならないことなんて実は特にないんです。
勿論、個別選手への技術指導によるレベルアップがあればそれに越したことはありません・・・でも本当にすべきは後半戦でやってきたことを継続出来るように、フロントにサードの補強を強く求めることと、守備負担の重いショートも専門職(原則他のポジションは守らせない)にして練習も実戦もショート一本の選手を3人用意し、特定選手の固定起用を避けて状態の良い選手で回しながら切磋琢磨させることです。
〜オマケ〜
今シーズン、西武ドームの人工芝の張り替えの影響はどうだったの?
昨シーズンの失策数91のうちホーム45でビジター46・・・ホーム失策割合はほぼ半分の約5割
今シーズンは失策数101のうちホーム41でビジター60・・・ホーム失策割合は約4割で1割の改善。
ホーム失策数自体も、ホーム失策割合も減っているこの数字を見る上では、人工芝の張り替えが影響してエラーが増えたなんて言い訳は成立しません。
まぁもしかしたら昨年までとのバウンドの変化に戸惑って前半戦は失策多発した・・・なんて部分もあるのかもしれませんが、もしそうだったとしたら、それこそ後半戦のエラー激減=新しい人工芝のバウンドに慣れた=解決済み、ということになりますね(笑)
えーと、なんか思いっきり間延びしてしまいましたが、次回は今度こそ打撃編です(冷汗