ライオンズクロニック

外野で垂れる能書き

得失点差から振り返る今シーズンの得点編

やたらと間延びしてますが、得失点から振り返る今シーズンのライオンズもやっと得点部分(打撃編)にまで辿りつきました(汗


今シーズンの得点は


日本ハム       619点
ソフトバンク  637点


に対してライオンズ   619点


ライオンズ得点はソフトバンクには届かないものの、優勝チームとまったく同じでリーグ2位タイ。
という事は、ライオンズ打線は十分に仕事をした!



・・・とは限りません。



ライオンズはそのリソースをフル活用した結果が619点なのか?
日本ハム打線と比較して同じ619点が本当にライオンズの実力なのか?
イデホ選手が抜けたソフトバンク打線にもまだ本当にライオンズ打線は劣るのか?



その判別としてここではRC27を用いてみます。



得点との相関性が高い指標としてはOPSが有名ですが、OPSの欠陥とされている走塁能力(盗塁)の考 慮のなさを補完したものがRCであり、その性質上打席数が多いほど大きくなる傾向があるRCを均等化して打席数の大きく異なる選手を比較するための指標としたものがRC27です。


なので得点能力としてパワーヒッターもリードオフマンもレギュラーも控えも平均に比較できる値としてのRC27です。



一応の目安として今シーズンのパリーグの規定打席到達者28人のうち16人がRC27が5.00を超えています。
そして6.00以上はわずか7人。


そんな値を頭に入れながら・・・



以下が優勝した日本ハムの各選手の値です。


選手名 RC27 (打席数)


規定打席到達
西川        6.89 (593打席)
レアード      5.49 (598打席)
陽         5.39 (555打席)
田中賢介      4.64 (626打席)
中田     4.44 (624打席)
中島     3.16 (600打席)


規定打席未到達のうちRC27が比較的高い値の選手(100打席以上でRC27が4.00以上)
大谷      8.88 (382打席)
岡       8.52 (154打席)



まず外野手ですが、外野手は西川、陽の2選手がともにRC27を5.00以上の高い値を出して600打席近く立っています。外野手残り1枠を任せたかった近藤選手(RC27は3.83)は不調、岡選手は怪我のため154打席(41試合)の出場にとどまり、代わりの選手で何とかやりくりしたことが伺えます。


次にファーストサードは中田選手とレアード選手。
レアード選手の値は十分に高いですが、中田選手も打点王ながら、RC27が4.44はさみしい数値。
とは言え、チーム内に100打席以上立って中田選手以上のRC27を記録した選手はほかに皆無だったわけで、中田選手以上の選択肢はありませんでした。


そしてDH。
大谷選手が出場104試合のうち約8割をDHで出場して、残りの試合を近藤選手以下で回しています。
大谷選手のRC27は驚異的で、382打席の出場しかないのがもったいない印象を抱いてしまいますが、その裏で投手として10勝して防御率1点台で140イニングも投げているわけですから、リソースを活用しなかった結果としての382打席というわけではありません。
但し、大谷選手が出場しない時のDHは近藤選手以下ですのでここは物足りませんでした。


最後は守備負担の重い捕手、セカンド、ショート。
日本ハムの捕手はここに名前があがっていないので、規定打席到達者がなく、かつRC27が4.00未満であることがわかります。
そしてセカンドショートは田中賢介選手と中島選手。
中島選手のRC27は規定打席到達者の中では最低の3.16で、のちに紹介しますがソフトバンクの今宮選手は3.88であるなど、規定打席到達者のうちRC27の値の下位は二遊間の選手で占められていますので、守備負担が重いポジションはこんなもので十分。
その中で田中賢介選手の4.64は二塁手にしては健闘している値です。


これらを総合すると、
外野手の一枠、ファースト、大谷選手以外のDHに物足りなさを感じますが、怪我等もあったなかで起用された選手以上に打てる選手はいなかったので、日本ハムの619得点は持てるリソースはフルに活用した結果と言ってよいでしょう。




次にソフトバンク


選手名 RC27 (試合数)


規定打席到達
柳田   9.29 (536打席)
中村   6.28 (612打席)
松田   5.01 (609打席)
内川   4.87 (605打席)
今宮   3.88 (590打席)


規定打席未到達のうちRC27が高い値の選手(100打席以上でRC27が4.00以上)
長谷川  5.08 (442打席)
本多    4.07 (388打席)
城所    5.42 (162打席)
江川    4.41 (138打席)


外野手はRC27が9.29と今シーズンパリーグ最高値を出した柳田選手が怪我でフルイニング出場した場合より100打席少なかったものの500打席以上立ち、6.28の中村選手が600打席以上立って得点に大きく貢献。
残り一枠は覚醒した城所選手をもっと使いたかったところですが、好不調の波が激しかったことが嫌われたのか162打席しか立てず、長谷川選手(外野手としては11試合のみ)、江川選手、福田選手(RC27は3.58)吉村選手(同2.89)らで回す形になりました。


・・・ここに打てる外国人選手を加えていたらたぶんソフトバンクが優勝だったろうな・・・と思いますし、あえて補強を断った工藤監督の慢心がここに見て取れますし、柳田選手が怪我で立てなかった100打席も惜しかったことでしょう。


ファースト、サードは内川選手にやや物足りなさを感じなくもないですが、規定打席未到達者の中に内川選手以上に打てる打者は見当たらず、松田選手も600打席以上立ってRC27で5.00以上を残しています。


DHは長谷川選手を中心に、内川選手以下の休養枠として使いましたので実質はRC27が5.00前後の選手を起用した形。特別劣るわけでもありませんが、打撃専門ならもう少し・・・と思う部分もなくはないですが、ここも長谷川選手以上に打てた選手が見当たりませんのでリソース自体は活用しきっています。


最後に捕手と二遊間。
捕手は鶴岡選手、高谷選手、細川選手で回しましたが、みんなRC27は3.00前後で得点への貢献は低くごく一般的。
ショートは3.88の今宮選手が600打席以上立ち、セカンドは本田選手が388打席で残りを明石選手や川島選手や牧原選手といったRC27が3.00にも届かない選手が務めて、トータルするとだいたい3.00台の半ばから後半くらいの想定も、二遊間ならこんなもの。


これらを総合すると、
日本ハム同様に外野手の一枠、ファースト、DHにやや物足りなさを感じますが、主として起用している選手以上に打てる選手はおらず、しいて言えば城所選手をもう少し使ったらと思わなくもないですが、絶好調だった交流戦を終えるとその後まったく打てなくなった(7月打率0割台)ところで首脳陣が早めに見きった故のRC27の値ということを考えると、リソースは使い切っている印象です。



日本ハム比較ではいくつかの部分ででっこみひっこみはあるものの、だいたいが「いってこい」になる想定。


ただ、大きな差として言えることは、値の突出した柳田選手が同じく突出した日本ハム大谷選手より150打席以上多く打席に立っていること。



日本ハム       RC27が5.00以上の打者が5人で2282打席
ソフトバンク  RC27が5.00以上の打者が5人で2361打席


その差79打席。


やはり打てる打者がたくさん打席に立つ、これ以上の攻撃効果はないということです。
そして日本ハム、ソフトバンクともRC27が5.00の打者をもっと多くの打席が立てる余地があったかというと、それはありませんでした。


つまり2チームとも持てるリソースを概ねフル活用した結果の得点でした。


ではライオンズはどうだったのでしょうか?


ってことで、やっぱり長くなってしまいましたので次回に続きます。(お約束