ライオンズクロニック

外野で垂れる能書き

今シーズンのカギを握る十亀投手

ライオンズは練習試合を2試合消化。


今の段階で内容を云々すべきではないです。

ただ、投手陣はもう少しキャンプで作ってきた土台の上でしっかりと指にかかったストレートを投げる投手がいて欲しいと感じましたが・・・





以下本題です。


昨年の10月頭くらい(もうだいぶ前ですなあ)に書いたブログで、
2016年シーズンの投手版の戦犯は


①十亀投手
②外国人投手
③潮崎ヘッド


と位置付けました。



この①②③のうち、2017年シーズンに強く期待したいのがの十亀投手です。



2015年 11勝7敗 防御率3.55 投球回数152 WHIP1.30
2016年  4勝6敗 防御率6.31  投球回数71   WHIP1.63



改めて2016年の数字はひどい・・・



十亀投手はもともと10勝10敗のイニングイータータイプで、「貯金○は堅い」と計算する投手ではないでしょう。


しかし、ソフトバンクのように防御率3.00以下で100イニング以上投げる先発投手を5人も用意できるチームなら話は別ですが、そうではない「普通」のチームでは防御率3点台半ばから4点ちょうどくらいでイニングイートしてくれる存在は非常に貴重です。


2016年優勝の日本ハムは先発投手では大谷投手に有原投手、そして若手の高梨投手と加藤投手、更にはシーズン途中から先発に配置転換された増井投手が目立ちましたし、これらの投手は実際に数字的にも素晴らしい働きだったのですが、優勝要因の中にメンドーサ投手が防御率3.88で132イニング、吉川投手が防御率4.19で109イニングと、イニングイーター2人で240イニング以上投げていることがあることを忘れてはいけないと思います。


もしこのイニングイーターの防御率が5点台や6点台になってくると、ここが投げることで拾っててきた試合の勝敗に影響することはもちろん、そもそも200イニング以上も任せられなくなってくる(そんなにたくさん捨て試合は作れない)ことから、リリーフの負担が大幅に増してリリーフ陣のパフォーマンス低下を招くことにより落とす試合が増えていた可能性も高く、もしこれら要因で拾っていた試合のうち3試合を落としていたならば、ソフトバンクとの勝率差は逆転していた・・・


なんてことを鑑みると、仮に貯金は作れなかったとしても、防御率3点台で150イニング投げてくれる投手というのは非常に重要な存在であることがわかります。



そして・・・ライオンズの先発投手陣の顔を見渡す中で、イニングイーターの代表的な存在であるのが十亀投手でしょうし、その十亀投手がたったの71イニング(防御率6点台!)しか投げず、代わりになる投手も出てこなかったのが2016年シーズンですので・・・戦犯の一人になるのも仕方ないところです。
(まぁあくまでもこのブログにおいてのお話ですけどww)


それにしても十亀投手の2015年と2016年の成績の落差はどこから来たのでしょう?



十亀投手の球種別配球割合


       2015年  2016年
ストレート    46%   37%       -9%   
スライダー       21%   27%    +6%
カーブ           19%      17%       -2%
シンカー     14%        5%       -9%     
シュート       0%         13%     +13%




十亀投手の球種別被打率


       2015年  2016年
ストレート      .291   .294      +.003
スライダー         .226     .264    +.038
カーブ                .200           .326      +.126
シンカー          .250           .267      +.017   
シュート       ---         .333   
  


十亀投手の球種別空振り率


       2015年  2016年
ストレート  4.02%   3.64%
スライダー  12.74%    12.86%
カーブ            10.48%     6. 55%
シンカー      13.57%   5.80%
シュート       ---              5.11%




これを見て、2015年と2016年とで何が変わったかというと、



・ストレートの割合が大幅に減った
・変化球の被打率が軒並み悪化
・シュートを使い始めたけど被打率、空振り率とも悪い
・シンカーの割合が減り、質が悪化



といったところが挙げられます。




まず、投球の基本となるストレートについては、2016年の球種割合にして40%を大幅に割り込む水準は明らかに低すぎです。


また、ストレート自体の被打率は2015年と2016年で殆ど変っていませんが、ストレートの割合が減ってがより「珍しい球種」になったにも関わらず、被打率が変わっていないというのは実質的に球質は悪化しているのと同義でしょう。


そして変化球の被打率が軒並み悪化しているのは、変化球自体の精度が悪かったことに加えて、打者にストレートを印象つけたり意識させることができなかったことで、余計に変化球に対応されてしまったことが背景にあるのだと思います。


つまりはストレートの球質悪化が変化球の被打率悪化を招いた・・・



ではどうしてストレートの球質が悪化してしまったのでしょう?


少し前、週刊ベースボールオンラインに、十亀投手が2016年の不調の原因の一つに、ウエートアップを果たしたものの、その体を思うように扱えなかったことを挙げ、投球の際に上げた左足が地面に着こうとしているのに上半身は後ろに残ったままで体重が前に乗らず、球威も球速も不足してしまった・・・


なんて記事がありました。


体を大きくして失敗する選手は後を絶ちませんが、どうやら十亀投手もその典型に嵌ったようです。


そして個人的にはこれに加えて、シュートを投げ始めたことを加えたいです。


シュートは164イニングを投げたプロ入り2年目の2013年シーズンでは、球種割合にして1%とお試し程度にしか投げていませんでしたが、2014年シーズンは13%を記録。


しかしこの2014年シーズンは開幕からリリーフ起用で始まり、5月の途中からは先発に戻るも7月に怪我離脱して以降のシーズンを棒に振っていて、先発登板は8試合に留まるなどその効果の程がよくわからないシーズンでした。


2015年はシュートを完全封印してキャリアハイの11勝を挙げましたが、2016年は封印を解いて13%を投げ、主要球種の一つとして使ったものの成績的には散々なシーズンでした。


シュートやツーシームをマスターするとストレートもシュート回転するようになる投手は結構多く(ソフトバンクの摂津投手もこの失敗をしましたね)、十亀投手はこの典型にも嵌ってしまった・・・



二つの典型に嵌ってストレートの質が下がり、本来の武器であるシンカーをはじめとする変化球の精度も下がってしまっては2016年シーズンの成績にも頷けます。



怪我がなければ防御率2点台で150イニング以上投げて、リリーフを休ませチーム全体の防御率を引き上げてきた岸投手が消えてしまったのが2017年シーズンのライオンズ。


十亀投手に岸投手の変わりを求めるものではありませんが、そういうシーズンだからこそイニングイーターがビッグイニングイーターとなってくれなければチームの浮上はあり得ません。


それができない、やったことがない、ことを選手に求めるのは酷ですが、過去5シーズン中2シーズンも150イニング以上を防御率3.50前後で投げた実績がある十亀投手にもう一度それを求めるのは決して過剰な期待ではないでしょう。


十亀投手に関する報道は少ないのでいま一つキャンプでの練習内容が伝わってきませんでしたが、2016年シーズンは何がいけなかったか、やるべきことは何かはわかって臨んでいる昨秋以降の練習でありキャンプなのでしょうから、今シーズンはこれぞドラフト1位のストレートという球威のあるストレートを取り戻し、そして本来のストレートを軸にカーブ、スライダー、シンカーを投げ分ける十亀投手のピッチングで是非イニングイーターとしての存在感を示すシーズンにしてくれることを期待したいです。





・・・って今日の練習試合で投げてましたね。


まだ調整の初期段階な感じでしたが、とりあえずストレートの威力は戻りつつある・・・ように見えなくもなかったかな(汗